南極の風に吹かれて

海氷と氷山を旅する

f0318818_2175074.jpg



昭和基地から、南極大陸沿岸の観測拠点まで雪上車で旅する
移動は、海の上
寒さで何メートルもの厚さに凍った海の上を、雪上車で走行するのだ
カチカチに凍り、ツルツルの表面が、キラキラと光を映す
まわりには、南極大陸の上から海に流れ出した”氷山”が取り囲む
氷山の高さは、目測で30メートルはあろうかという高さ、
長さは、長いものでは1kmほどもあるだろうか
まるでおとぎの国に迷い込んだような小さな雪上車とわたしたち
 

[PR]
# by antarctic_mouse | 2013-11-25 23:00

アデリーペンギン集合

f0318818_8424869.jpg

海氷の浮かぶ南極海に船が停泊していると
何もないかと思われた風景の中から、白と黒の動物が現れてくる
歩いたり、泳いだり、お腹ですべったりしながら
ヨチヨチ、ピョンピョン、スイスイと
海氷に積もった雪にたくさんの足跡や筋をつけながら
船の目の前に集合したのは、アデリーペンギン
体長70センチメートルほどの飛べない鳥だ
好奇心おう盛なペンギンたちは、砕氷船を”見学”に訪れたのだろうか?
砕氷船のほうでは、隊員やクルーがカメラを持ってペンギン”見学”に殺到
奇妙なご対面は、船が動き出したかヘリコプターが接近するかして、ペンギンが驚いて逃げるまで続いた
 


[PR]
# by antarctic_mouse | 2013-11-25 08:58

外出禁止令

f0318818_12502717.jpg


数個の低気圧が、南極大陸のまわりをぐるぐると回っている。
その中のひとつが発達して、昭和基地に近づいて来た。
ブリザードという、台風並の風を伴った雪嵐が昭和基地を襲う。
「風速20m/s、視程200m。これからさらに悪くなる予想です。」
越冬隊長からの電話に、気象棟で観測中の隊員が答える。
まもなく「外出禁止令」が発動されるだろう。
そうなれば、基地の建物からは絶対に出ることが許されない。
ブリザードは、空からたくさんの雪を降らせると同時に、地面に積もった雪を強い風で巻き上げる。
そうなると、空気中を雪の結晶が大量に乱舞し、視界の中は真っ白になる。
”視程”というのは、見通し距離のことだ。
視程200mならば、200m先のものまでは見える。
しかし、ブリザードが強くなると、窓の前2mほどの外灯の明かりが、かき消されるように見えなくなる時がある。
「手を伸ばした指先が見えなくなることがある」と、南極の先輩が語るのを聞いたこともある。
強い風、真っ白な視界。
北の海からの風は、比較的暖かく、冬でもマイナス10℃を上回ることもある。
しかし、こんな時に外に出れば、まっすぐ歩くことも困難。迷子ともなれば命の保証はない。
「まもなく外出禁止令をだします。移動が必要な隊員は、今のうちに移動してください。」
隊長のアナウンスが流れる。
ブリザードは2、3日続くこともある。24時間交代で観測を続ける気象隊員の場合、移動できなくなる前に交代要員を送り込み、缶詰状態で観測を続ける。
「石井さん、Aさん、Bさんと一緒に気象棟に行ってください。」
ブリザードの時の移動は、必ず2人以上と決まっている。
一人では、何かあった時に危険だからだ。
こうなることを予想して、準備はしておいた。
分厚い羽毛服上下、帽子、ネックゲーター、ゴーグル、薄手の手袋、厚い毛糸の手袋、牛の一枚革の手袋、”D靴”という特別仕様のごつい靴で身支度を仕上げる。
仕事道具と暇つぶし用の本、カメラなどが入ったザックを背負い、腰にロープを結びつける。
ロープのもう一方の先には”カラビナ”を付ける。これは、命綱だ。
昭和基地の建物と建物の間は全て、ロープが張り巡らされている。
このロープに命綱のカラビナを掛けて歩けば、必ず建物にたどり着く。
ブリザードで迷子にならないための知恵だ。
ほかにも、出入り口やロープの途中などには目印の旗が立ててあったりと、そんな工夫が昭和基地にはされている。
複雑なシステムは要らない。むしろ、簡単なほうが保守しやすく間違いもない。
絶対に命を落とさないという目的が達成されることが重要だ。
すぐ隣にある危険、死。なにをするにもそれ抜きに考える事は出来ない。
しかし、徹底してそれがあったから、たとえば冬山登山よりもむしろ「安全」だと感じたのも事実だ。
危険も安全も些細な事であると、極限がそれを教えてくれる。
[PR]
# by antarctic_mouse | 2013-11-14 22:19

薄明のオーロラ


2008100905syowa.jpg

撮影:2008/10/9 昭和基地



太陽の昇らない極夜の冬から、太陽の沈まない白夜の夏へ
夜が段々と短くなる
オーロラは1年中現れるのだけれども、昼間は太陽の光に負けてしまって見えなくなる

短くなった夜が明けようとしている
薄明の空に、淡いオーロラが揺らめく
 
[PR]
# by antarctic_mouse | 2008-10-09 19:13

雪面の風化


2008092904syowa.jpg

撮影:2008/9/29 昭和基地


南極の雪面は、固い
それは、低い気温と強い風によって、雪の結晶がとても細かく砕け、叩き付けられ、結晶同士ががっちりと結合して積もるからだ
雪は、どんな小さな隙間にも入り込み、スコップが曲がるほど固い
観測機器に詰まった雪は、ブリザードの度にわたしたちを苦しめる

雪面をなでるように吹き抜ける風は、硬い氷の結晶を伴い、固く締まった雪を削る
そのとき雪は、「サーーーッ」という、砂が移動するよりももっと硬質な感じの音を立てる
こうして出来た凸凹を「サスツルギ」または「スカブラ」と呼ぶ
南極大陸の内陸では、その凸凹の高低差が2mにもなるという
内陸を旅行する者は、徒歩だろうと雪上車だろうと、その凸凹に難儀することになる
 

[PR]
# by antarctic_mouse | 2008-09-29 17:47