南極の風に吹かれて

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南極大陸を行く

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2008.10.5 南極大陸「とっつき岬」〜S16拠点 ルート上にて撮影

越冬隊が活動する「昭和基地」は、南極大陸の上にない
南極大陸から4kmほど離れたところにある「東オングル島」という島の上に基地はある
東オングル島と南極大陸の間の海は、夏以外は凍結していて雪上車でも走ることが出来る
とはいっても、途中にはクラックがあったり危険も伴うので、好き勝手に行ったり来たりすることは出来ない
南極大陸は、近くて遠い存在だ
第49次の越冬活動では、「みずほ基地」までの内陸旅行があった
総勢8名(研究者、機械隊員、通信隊員、調理隊員などで構成)で3週間かけて宙空圏、気水圏、地圏関連の研究観測をしながら往復するものだ
わたしはそのメンバーには入ってなかったが、雪上車の立ち上げなどの出発準備のために、とっつき岬から約20km内陸にあるS16ポイントまで同行した
つまり、わたしの内陸旅行は、とっつき岬からS16までの往復約40km
2泊3日の旅行だった
海から南極大陸に上陸するポイントは限られていて、もっともよく使うのが「とっつき岬」というポイント
ここには、常時大陸旅行用の大型雪上車SM100が停泊していて、その時を待っている
南極の冬を乗り越え、雪に埋まり冷えきった雪上車を、掘り出し、ゆっくりと暖め、内陸へと向かった

あこがれの南極大陸は、ただただ、雪と氷の世界だった
とっつき岬からは、はじめ斜度のある登り坂で、振り返ると凍りついたオングル海峡に黒々とした岩島や青い氷山がちりばめられ、いつも見ている海とは思えない感動があった
内陸に進むと、斜度も落ちて前も後ろも右も左も真っ白な平原となる
あらためて、「南極に来たんだ〜!」という実感に心が震えた
 
ちなみに、南極大陸の上に分厚く(最大約4000m)乗っかっている氷は、もともと降り積もった雪が圧縮されて出来たものだ
この雪上車の下にも、おそらく何百メートルという氷が岩盤とのあいだに乗っかっていることだろう
そして、氷はゆっくりゆっくりと海岸に向かって流れ下っているのである





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by antarctic_mouse | 2014-11-01 23:01

雪のれん

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2008.9.23 昭和基地にて撮影

風もなく、サラサラと降る雪
こういう降り方は、昭和基地では少ない
降るとなると、台風なみの強い風を伴って、上から下から雪が踊り狂うような「ブリザード」となることが多いのだ

基地の建物の照明でライトアップされた雪を、スローシャッターで撮影してみた
平べったい雪の結晶が、
目で見てそれとわかるくらいはっきりと雪印マークの形をした1cmほどもある結晶が、
くるくると回転しながら落ちてきて、
キラキラと点滅するように光を反射する
それが、まるで珠のれんのようなラインをフィルムの上に描いた

※照明のオレンジ色の光を色調変更して青色にしてあります

 

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by antarctic_mouse | 2014-11-01 22:52

測風塔とグラデーションの空

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2008.4.30 昭和基地にて撮影

わたしの南極での仕事は、”気象観測”である
日本の気象台と同じように、気温や気圧、風向風速などを、世界中と同じ方法で毎日途切れることなく観測する
風は、地上から10mの高さのところで観測するのが基本で、これは世界中どこでも同じである
といっても、日本の街中では障害物が多くて、もっと高いところの風を測っているところが多いのだけれど・・・
南極昭和基地には高層建築がないので、写真のような「測風塔」を建てて、地上から10mの高さで風を計測する
昭和基地のある南極沿岸は、月に何回か「ブリザード」と呼ぶ雪嵐がやって来て、台風なみの風を吹かす
また、風のない晴れた日には、気温がマイナス40℃くらいまで下がることもある
そんな中で日本と同じ観測を続けるというのは、それなりの苦労や工夫がある
それでも、基本は定期点検を怠らないことや、ちょっとでも気になることがあったらチェックするといった地道な作業だ
風で機械や設備が壊れていないか?
雪や霜が付着していないか?
データは正しいか?
風の弱い寒い日には、プロペラなどの可動部分が凍り付いて動かなくなっていることも多い
本当に風がないのか?外に出て確認し、凍っていると判断したら、棟に登って解凍する
地上10メートルからの基地の眺めはなかなかだ
と、そんな楽しみもそこそこに、すこしでも欠測をなくすことが気象隊員の使命だ
第一次観測隊から50数年、途切れることなく続けてきた先輩方に敬意を払いつつ、受け取ったバトンを握りしめて走る

写真は、「気象棟」の屋上から測風塔を入れて、
オングル海峡の氷海のシルエットと、オレンジ〜紫のグラデーションの空を撮影
昭和基地の、美しすぎる日常風景
  
 

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by antarctic_mouse | 2014-11-01 22:42

月夜に踊る

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2008.8.19 昭和基地にて撮影

夜空にたなびいているのは、オーロラ
この日のオーロラは、静かに現れとおもうと
だんだんと、うねるように、踊るように
月齢17.71の明るい月が照らす夜空に広がって消えていった

写真で地面がカーブしているのは、対角魚眼レンズの効果
このレンズは、180°の視野が写真の対角線に写り込む
空に大きく広がったオーロラを写真いっぱいに入れたいための選択
それでもオーロラが入り切らないこともある
動きが速すぎてカメラを取り出す間もないこともあった
そんな時は、雪面に大の字に寝転がって空を眺めたり
ただただ、目を丸くして走り抜けるオーロラを眺めたりした
そんなオーロラが、実はもっとも印象に残っていたりするのだ
 

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by antarctic_mouse | 2014-11-01 22:03

ひょっこりアデリーペンギン

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南極といえば、ペンギン
だけど、ペンギンがどういうところでどんな風に生きているのか、きっと知らない人が多いんじゃないかと思う
ほんとうのところ、ずっと付いて回った人はいなくて、誰も正確には知らない
でも、南極の夏には、こんな氷海で砕氷船の船上からペンギンに出会える
ペンギンは、好奇心いっぱいなのだそうだ
だから、真っ白な氷海にオレンジ色の船が停まっていると、わざわざ近くまで見物(?)にくるのだ
真っ白い、海と氷と雪以外何もないようなこの風景の中に、ほんとうにペンギンは生きていて、
そうして、わたしたちの目の前に姿を見せてくれる
2本足で歩いたり、おなかで滑ったり、氷の隙間に飛び込んで泳いだりしながら
ほんとうに、間違いなく、いるのだ
いまも



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by antarctic_mouse | 2014-10-31 02:13

星々と極光の川

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透明度の高い空
公害も光害もない南極の夜空は、ほんとうに美しい
緑の淡いオーロラと天の川が、まるで競演するように流れ
中央近くに南十字星が高く上り、ここが南半球の高緯度地帯であると証明してくれる
南極、昭和基地の夜空
 

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by antarctic_mouse | 2014-10-31 02:11

色を奏でる

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南極の空は、色とりどりの表情を見せてくれる
ときには、雲や光線の加減で、それらの色がまるで織物のような綾を織りなす
このときの空は、
やさしい紫やピンクやオレンジに染め上げられた糸が、
まるで人の意図などないように、それでいて美しいハーモニーを奏でる
憧れの志村ふくみさんの紬のようだと思った
それで、恐縮ながら、「色を奏でる」というタイトルを、ふくみさんの著書からいただきました

※ブログの画像はちょっと暗いのですが、倉敷のフォトショップナカイさんにプリントしていただいたカレンダーでは、美しい色のハーモニーが再現されています


 




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by antarctic_mouse | 2014-10-31 02:08

氷海と氷山群

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8月、南極の冬
まだ日が短いとはいえ、太陽が戻り、
本格的な野外活動のためのルート工作が始まった
目的地は、昭和基地からスカルブスネスまでの約65km
数メートルもの厚さがあると思われる海氷の上を、雪上車で安全を確認しながら走行し、
安全で効率の良いルートを探して、目印の赤い旗を立てていく
危険なのは、クラックという氷の割れ目
しっかり凍っているように見えても、潮汐の影響などで氷に割れ目ができる
そんなのに落っこちたら命の保証はない
厄介なのは、氷山群
高さ数十メートル、長さは大きいものは数キロもあろうかという氷山が行く手を阻む
夏の間に海氷が解けて氷山が漂流し、前年と同じルートが引けるとは限らない
右からかわすか、左からかわすか
正解は行ってみないとわからない
そんなこんなで、一日に延ばせるルートは限りがある
南極大陸沿岸に設置した観測小屋を拠点に、宿泊しながらの作業が続く
できるだけルートを延ばしたい
作業は、薄明の時間も無駄にしない
気温はマイナス20度から30度
きらきらと美しい海氷の上を走行し、
昭和基地では見られない美しい風景が次々と現れ、
蜃気楼が伸び縮みし
夜空に星がきらめいた
忘れられない4泊5日の旅
 
 







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by antarctic_mouse | 2014-10-31 02:06

桜色の南極

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南極というと、白い氷や雪、青い空をイメージされる人が多いと思う
わたしも、そんなイメージを持っていた
しかし、実際の南極は、実にカラフルなところだった
様々な”青”や激しいほどの赤、ピンク、紫、黄色、オレンジ、緑、、
これらの色は、清浄な大気や低い太陽高度、遠くのブリザードやオーロラ、成層圏の大気現象などによって生まれる
それらの色を雪や氷が反射し、散乱し、一面に染め上げ、美しい世界を作り上げる



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by antarctic_mouse | 2014-10-31 02:04

白瀬氷河

08021008syowa2008.2.10 南極大陸「白瀬氷河」 海上自衛隊ヘリコプターより撮影

南極大陸の上は、約98パーセントが氷におおわれている
その厚さは、平均約2400m、最大約4000m
それを大陸氷床と言う
氷は、大陸の上に降り積もった雪が圧縮されたものだ
降り積もった雪はとけることなく、氷床の底には100万年も前に降った雪が氷となって閉じ込められている

鏡餅のような形をした南極大陸に乗っかった氷は、重力で大陸の縁に向かってゆっくりと流れている
とくに流れの速いところは、河に見立てて「氷河」と呼ぶ
白瀬氷河は、そのなかでも速い氷河のひとつとされ、しかし速いと言っても、1年間に2.5kmほどというスピードでリュツォホルム湾に流れ下る(氷床の流速は年に数m~数10m程度)

その白瀬氷河の河口付近をヘリコプターに乗って上空から眺めた
あいにくと低い雲が空をおおい、空も氷床も氷河も白色にとけ込んではっきりとしなかった
氷河では、氷が重力に引っ張られて無数の割れ目が出来る
その割れ目が青く網の目のように広がり、ここが氷河であることを教えてくれた
水たまりのように見えるのは、おそらく夏の(沈まない太陽の)日差しで氷の表面が溶けたものだろう
ここに見える氷は、何万年前の雪だろうか?
どれくらいの距離を流れ下ってきたのだろうか?
時間的にも空間的にも、そのスケールの大きさに気が遠くなりそうだ

 

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by antarctic_mouse | 2014-10-31 02:00